パートを試用期間中で辞めることは可能?気を付けることと注意点
試用期間中にパートを辞めたい場合、試用期間かそうでないかで手続きが変わるというわけではありません。今回は、試用期間中にパートを辞めたい場合の手続きの流れ、注意点を解説します。誠意のある態度で円満退職を目指しましょう。
試用期間中でも辞めることはできる
試用期間中であっても、パート労働者と会社との間には、雇用契約がすでに成立しています。試用期間中の労働者と会社との間では、一般的に「有期雇用契約」もしくは「解約権を留保した労働契約」が締結されます。解約権というのは、会社が雇用契約を結ぶのをやめる権利というものです。
試用期間というのは業務に対する「労働者の適格性」を会社側が判断するための期間として解約権が会社に留保されている期間と考えられています。しかし、実際には労働者の不安定な地位を防ぐことから、正当な理由のない突然の解雇や本契約の拒否は認められていないのが実情です。
一方、労働者の権利として、試用期間が終わるまで辞めることはできないというわけではないので、辞めることは可能です。
とはいえ、法律上はきちんとした退職手続きを行う必要があります。退職の手続きについては雇用契約の際にもらった就業規則に記載されていることが一般的です。
手続きは即日完了しない場合もある
試用期間中であっても、会社との間にはすでに雇用契約が成立しています。つまり会社を退職する際には試用期間中であるか否かにかかわらず、通常の退職手続きを行う必要があります。
退職したいと思った場合には、法律上、原則として退職予定日の14日前までに退職の意思を、人事権を持つ人に申し出る必要があります。こういった退職の手続きは就業規則に記載されていることが多いので、確認してみましょう。試用期間が本採用に比べて手続きが簡単、というわけではありません。
以上により、原則としては退職したい場合はその旨を伝えてから14日後に辞められるということになっています。逆に言うと、退職したくても14日間は辞められない、と言えます。
ただ会社によっては、試用期間中に退職の意思を伝えた場合には、お互いの合意で即日もしくは数日以内に辞めることができる場合もあります。重要な仕事を任されていない、入社したてのパートの場合はすぐに辞めることができる場合も少なくありません。
退職の意思を伝える段階で、どのくらいで辞めることができるか、いつの退職を希望するのかを会社側と話し合ってみましょう。
辞める場合の手順
実際に辞めるための手順を説明します。
1.退職したいという意思を上司に伝える
会社を退職する場合には、口頭や書面でその意思を表す必要があります。必ずしも書面で表す必要はありませんが、書面で表すことによって後々のトラブルを防ぐ効果もあります。ただし一般的に試用期間中であれば、引き継ぎや会社側の準備も少なくて済む場合があるので、通常の退職よりも手続きが簡素化される可能性があります。
そのため、書面での意思表示より前に会社へ退職の意思を告げて退職手続きの方法を伺うのがいいでしょう。直属の上司に、退職するという意思を伝えて判断を仰ぎましょう。会社によっては、就業規則により所定のフォーマットに退職願や退職届を提出することを指示される場合があります。
2.合意が得られなければ退職届を提出
直属の上司に判断を仰いでみても、なかなか退職に合意されなかったり、判断をしてもらえなかったりという場合には人事権を持つ人に「退職届」を提出しましょう。これは相手に受理されてもされなくても、退職届を出してから14日間後に退職をすることが可能です。退職日までは、無断欠勤等をせずに会社へ出勤しましょう。
なお、退職届とは「退職する」という意思を表す書類です。会社側の承諾は必要ありません。また一旦提出すると基本的に会社が認めない限りは撤回できないので、退職の意思が固い場合に提出します。
会社側に何らかの損害を与えた場合には、損害賠償請求がある場合もあります。雇用契約書や就業規則を確認して退職の手続きを正しく行い、後々のトラブルを防ぎましょう。退職届を提出する前には、なるべく円満退社できるようきちんと話し合うことが大切です。
3.合意が得られたら退職願を提出
反対されることなく了承を得られた場合は、「退職願」を提出しましょう。これは「退職させてください」とお願いする書類で、受理されることで効果が発生します。
なお、この書面の提出は、会社や上司の判断で不要とされる場合もあります。ただし、基本的には、退職の意思表示をしたら退職願を提出させ、それを受理するという形で退職手続きが進む場合が多いです。この場合は、いつが最終の出社日になるのかは上司等と相談して決めることになります。
4.退職までの給与を確認する
どんなに短い期間の退職であっても、働いた分の賃金はきちんともらうことができます。
ただし、試用期間中は通常よりも低い賃金が設定されている場合もあるので注意しましょう。その場合には会社がある都道府県で定められている最低賃金を下回っていないかを確認しておきます。もしも最低賃金より低い賃金が設定されている場合には、少なくとも最低賃金の額を請求することができます。
5.備品を返却し必要書類を受け取る
会社から借りた備品の返却や税金・雇用保険関連の必要な手続きを終えておきましょう。うっかり忘れると後から持って行ったり郵送する手間がかかります。
また入社時に年金手帳を預けた場合には返却してもらい、雇用保険にすでに加入している場合には離職票をもらっておきます。
6.お世話になった人に挨拶する
退職に必要な手続きが完了したら、最終日まで滞りなく過ごしましょう。試用期間でも数週間働いていた場合は、それなりに先輩や上司とのコミュニケーションもあることが通常なので、最終日もしくはシフトの関係でその日で会わなくなる人にはお礼の挨拶をしましょう。
退職後も年末調整や確定申告、次の就職をした場合などの際に再度会社へ連絡することが必要なことがあるので、退職の際は誠意を持って対応し、できる限り円満退職を目指しましょう。
退職時のトラブルは専門機関に相談
手順に記載したような退職の意思を伝えて相手が怒ったり、出社を強要するようなトラブルになった場合、会社の内部に相談窓口があればそこに相談し、それでも解決しないような場合や窓口がないような場合は各都道府県の労働基準監督署、労働相談コーナーが窓口となってくれています。
厚生労働省ホームページ
厚生労働省ホームページ
今回は試用期間中のパートを退職する場合の方法をご紹介しました。基本的には試用期間であっても通常の場合と同じ退職手続きが必要です。なるべく会社に迷惑をかけないように、就業規則に則って正式な手続きで円満退職をしましょう。
人間関係の悩みで辞めたい場合は?
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