パートとフルタイムの違いを解説!社会保険、年収で損するのは?
子どもが小さいうちはパート、大きくなったらフルタイムで働こうと思っている方も多いでしょう。パート、フルタイムの違いというのは基本的には勤務時間の違いになりますが、他にも年収によって、税金や年金、社会保険などの支払いがあるかどうかといった点が異なります。
結局、妻の年収はどちらの働き方が得と言えるのか、簡単に解説します。
※2016年10月のパートタイム労働法改正に基づき書かれた最新の情報です。
この記事の目次
パートとフルタイムの違いは「勤務時間」
パートとフルタイムという言葉の一番大きな違いは、一般的にはフルタイム=法定労働時間の週40時間働いている人、パート=週40時間より短い時間で働いている人という、「勤務時間の違い」です。
また、パートは「パートタイマー」の略称ですが、その名前の通り「(フルタイムではなく)一部の時間帯のみ」で働く人という意味があります。
1日8時間、週40時間働くのは一般的には「正社員」であり、正社員=フルタイムという理解をしておくと良いでしょう。
パートは年収103万円・130万円の壁に注意
まず、妻の年収による控除の規定としては控除後の年間合計所得が38万円以下の場合、つまり年収103万円以下なら所得税はかからず、年収100万円以下(自治体によって多少の差があります)なら住民税もかからない」というものがあります。
この場合、目安として、103万円÷12か月≒85,833円(月収)の給料を超えない範囲で働けば良いことになります。
また、妻の年収が103万円以上、130万円以下であれば、所得税や住民税はかかりますが、「配偶者特別控除」の適用はあり、社会保険料を負担する必要はないということになります。
※年収が130万円以下でも勤務時間が正社員の3/4以上あれば社会保険を負担する場合もあります。
年収130万円を超えると住民税、所得税が発生し、103万円のときよりも課税額は高くなりますので、その分は損していると言えます。年収を130万円以内に抑えようとする場合は、目安として、130万円÷12≒108,333円(月収)を超えないで働けば良いことになります。
社会保険は年収106万円から!?
フルタイムで働く従業員は社会保険に加入することが一般的ですが、パートでも、2016年10月以降は以下の条件に当てはまるパートタイム労働者は社会保険に加入することとなります。※学生を除く
- 1.週の労働時間が20時間以上
- 2.賃金月額月8.8万円以上(年106万円以上)
- 3.1年以上の継続勤務
- 4.従業員501名以上の企業
つまり、この条件に当てはまる人はフルタイムでもパートでも、社会保険料を支払う必要があります。社会保険に加入するメリットは様々ありますが、手取りの金額は保険料の分だけ減ってしまいますの。従業員501名以上の大きな会社で勤務しているパートタイマーは、これまで通り103万円ギリギリ、もしくは106万円以上130万円未満の収入の場合に社会保険料の負担が特に大きくなりますので、手取りが減って損してしまう可能性があります。
なお、この条件に当てはまらない企業に勤めていて、週の労働時間も抑えて年収106万円未満であれば、これまでと変わらず社会保険の加入義務はありません。最低限知っておくべき条件としては、以下の通りです。
- パート・アルバイトの1日(又は1週間)の労働時間がフルタイム労働者のおおむね4分の3以上
- パート・アルバイトの月の労働日数がフルタイム労働者のおおむね4分の3以上
例えばフルタイム労働者が1日8時間、月20日間勤務しているとすると、パート・アルバイトの1日の労働時間がおおむね6時間以上あって、月に15回以上それだけの時間勤務していれば条件を満たします。
長時間働くパートは税金で手取りが減って損することも
次に、パートで長時間働く場合について解説します。
仮にパートとして1日8時間働く場合、1週間の労働時間は1日8時間×5日=40時間となります。
例として、パートのまま時給800円もしくは時給900円で働くとして、それぞれの年収を考えてみましょう。
1日8時間、週5日勤務とすると
1日6,400円×5日=32,000円
1ヵ月勤務(4週間)=128,000円(月収)
1年勤務(12ヵ月)=1,536,000円が年収となります。
1日8時間、週5日勤務とすると、
1日7,200円×5日=36,000円
1ヵ月勤務(4週間)=144,000円(月収)
1年勤務(12ヵ月)=1,728,000円が年収となります。
このように、パートであっても長時間働くと年収130万円は超えてきます。
パートでも年収130万円を超えると(掛け持ち含む)、収入額によって年間で所得税や住民税、社会保険や年金などで20~30万円以上が引かれていきます。
そうなると、年収によっては103万円以下に抑えるよりも手取りが少なくなってしまい、実質的な収入は減ってしまう=損をすると言えるでしょう。
まとめると、パートでも長時間働く場合、「年収130万円を大きく超える収入を得られなければ、課税額次第で手取りが少なくなって損する」と言えます。目安としては年収150万円以上が、課税額を差し引いても手取りが増えていく(稼いだ分が上回る)基準とされています。
パートで働く場合、年収103万円以下、もしくは130万円以下の扶養の範囲で働くのが、税金で引かれる金額も少なく、勤務時間的にも家事、育児などとの両立もしやすいと言えます。
正社員としてフルタイムで働く人は最も高収入になる
今度は正社員でフルタイムで働く場合について考えてみましょう。正社員では就業規則により、パートとの待遇、福利厚生などに違いがあるところがあります。
具体的には昇給、昇級、賞与、退職金、社会保険の他、住宅手当、資格手当などの各種手当がある会社もありますので、年収にも大きく差がつく可能性があります。
気になる収入額ですが、一般事務の平均年収は約290万円、事務職全般の平均年収は約305万円と言われていますので、これまで説明したパートの年収パターンと比べれば、一目瞭然で正社員のほうが収入が多いです。
社会保険、雇用保険などを引かれたとしても手取りは年収の8割程度残るので、実質収入は増えることになるでしょう。引かれる分より、稼ぐ分が上回るからです。
ただ、正社員となると、残業もあるかもしれませんし、1日のノルマもあるかもしれません。家庭の事情だからといって何日も休むことは難しくなることもあるかもしれませんし、子どもと一緒に過ごせる時間も減るでしょう。
給料がアップする反面、勤務時間や勤務内容がパートよりもハードになります。それでも勤務できそうなら、フルタイムで働く正社員になることは、一番の収入増につながるでしょう。
扶養範囲で働くメリットは?
扶養の範囲内で働くメリット等についてはこちらの記事に詳しく解説しています。フルタイムではない時間での働き方を考えている場合、参考にしてください。
時間、曜日を相談しやすいパート先なら、働く時間も調整しやすいでしょう。