パートの場合は収入がいくらまでなら税金はかからない?〈簡単解説〉
パートで働くと、収入と税金の関係が気になるでしょう。家事や子育てに忙しい中、せっかく家計の足しにしようとするのですから、少しでも税金のことを知って賢い働き方をしたいものです。
「いくらまでなら自分の収入に税金がかからないのか」を知れば、月々の収入や年収を調整して働くことが可能になります。税金といっても、所得税、住民税などがありますので、どちらもかからないようになる収入を、把握して働きましょう。
※2016年10月のパートタイム労働法改正に基づき書かれた最新の情報です。
年収103万円以下で「所得税」はかからない
パート収入は法律上では「給与所得」という分類になります。たとえ数千円でも、1万円でも、働けば所得税を払う義務が発生します。まず、これが所得税の原則です。
「給与所得」というのは、1月1日~12月31日までの1年間の年収から「給与所得控除額」※を引いた金額です。本来は正しい所得が確定してから、所得税や住民税など正確な税金がかかることになります。
※「給与所得控除額」:給与額から引かれる金額で、この金額には税金はかかりません。年収によって控除額は変わり、180万円以下の年収ならすべて65万円が控除額=税金がかからない所得額となります。
しかし、給料は毎月支払われ、そこから所得税を支払う必要があるため、会社は大まかな金額で税金を前もって引いて毎月の給与を支給しています。結果として、12月になると多少の誤差が出てしまいます。そこで「年末調整」ということを行って、正しい年収と「給与所得控除額」を出して、金額の過不足を修正しているのです。
もう一つ、納税者なら全員が受けられる「基礎控除額=38万円」というものがあります。この金額にも税金はかかりません。
つまり、「給与所得控除額=65万円」と「基礎控除額=38万円」を合わせて103万円。この年収までなら、所得税がゼロとなるのです。月収だと103万円÷12≒85.000円ほどになります。
年収103万円以下でも「住民税」はかかる
年収を103万円にして所得税がゼロだと思っていたのに、突然、住民税の納付書が届いた…。所得税がかからないから住民税もかからないと思っていた方にとっては、驚くことかもしれません。しかし、年収103万円以下でも住民税がかかる場合はあるのです。
結論を簡単にいうと、所得税がゼロになるのは「給与所得控除額65万円+基礎控除額38万円=年収103万円まで」、住民税がゼロになるのは「給与所得控除額65万円+基礎控除額33万円あるいは非課税控除額35万円=年収98万円あるいは100万円まで」という違いがあります。
自治体によって基礎控除額33万円が適用されるか、非課税控除額35万円が適用されるかで住民税がかかる年収は分かれますが、とにかく年収98万円、年収100万円の場合でも住民税が発生することになります。
※自治体によって、非課税控除の額はもっと少ない場合もありますので、そういう自治体だと年収が98万円以下でも住民税がかかる場合があります。
適用控除額は、お住いの各自治体に問い合わせることをおすすめします。
年収90万円以下なら一切税金はかからない
所得税も住民税もかからないで安全策を取るとすれば、年収90万円に抑えれば所得税も住民税もかからないでしょう(2016年8月時点)。
前述の通り、年収90万円~100万円の間で住民税のかからない金額は自治体によって違いますので、自治体に問い合わせるのが確実です。それによっていくらの年収だと住民税がかかるかがわかります。
とはいえ、住民税は2016年8月現在、全国の市区町村で金額のルールに差はほとんどありません。
また、所得税や住民税は、1年間の給与所得に対してかかりますので、パートでも転職をした場合には、「源泉徴収票」を前会社からもらい、今の勤務先に提出しましょう。それにより、2つの勤務先の課税額を合計して年末調整をしてもらえます。
2016年10月からは「106万円の壁」に注意
2016年10月から、法改正により、以下の条件に当てはまる場合、社会保険に加入することとなります。所得税については変わりありませんが、毎月の賃金が8.8万円、年収106万円を超えると社会保険料を支払う必要があります。
- 1.週の労働時間が20時間以上
- 2.賃金月額月8.8万円以上(年106万円以上)
- 3.1年以上の継続勤務
- 4.従業員501名以上の企業
上記は学生は除外されています。
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