パートの社会保険加入条件を収入範囲別でかんたん解説!《2017年最新版》
パートで働いている人でも、条件を満たせば勤務する会社で社会保険に加入することになります。今回は、パートの収入別に条件をまとめましたので、働く際の参考にしてみてください。
※2016年10月のパートタイム労働法改正に基づき書かれた最新の情報です。
2016年10月から社会保険加入条件が拡大した
まず、社会保険の加入条件を簡単に整理しておきましょう。2016年の10月から、パートで働く人の社会保険加入条件が新たに設けられ、これまでの条件では対象外だった人も加入対象になってくるケースが生まれるようになりました。これまでの条件は以下の2つです。
- 年収130万円以上
- 1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が(正社員の)4分の3以上
これが、2016年年の改正前の社会保険加入条件で、1か2のいずれかを満たした場合は社会保険に加入することとなります。これが2016年10月以降は、一定額の賃金の支払い見込みがあり、従業員が501人以上の会社であれば週20時間以上働く人も対象となり、広がったのです。
上記1、2の条件にあてはまらない場合でも、以下の5つの条件を全て満たした場合、社会保険に加入することとなります。
- 週の労働時間が20時間以上
- 賃金月額月8.8万円以上(年106万円以上)
- 1年以上の継続勤務
- 従業員501名以上の企業
- 学生は除外とする
さらに2017年4月からは、従業員が500人以下の会社であっても、労使で合意することで社会保険に加入できるようになりました。このように、社会保険の加入条件は徐々に拡大していっていると言って良いでしょう。詳しくは厚生労働省の社会保険適用拡大のお知らせも参照してください。
パート、アルバイト従業員の社会保険加入範囲が広がることで社会保険の様々なメリットを受けることができる人が多くなるとともに、社会保険料の負担も発生することとなっています。
収入範囲別に加入条件を見てみる
それでは、収入範囲ごとに加入条件がどうなっているのか(一般的にその収入なら社会保険に加入することになるのかどうか)を見ていきましょう。なお、今回紹介する収入範囲については、「1社のみでパートをした場合」を前提としています。ダブルワークをして合計の収入額が大きくなった場合は、自分で国民年金と健康保険に加入して、それぞれ保険料を支払う必要がありますので注意してください。
月収88,000円(年収106万円)未満
月収88,000円未満の場合、上述した社会保険の加入条件にはどれもあてはまりません(拡大された加入条件でも、月収88,000円以上)ので、社会保険の加入条件を満たさないこととなります。
月収88,000円(年収106万円)以上
月収88,000円を超えた場合、年収130万円に届かなくても、上に挙げた2016年に拡大された5つの条件を満たすと、社会保険に加入することとなります。加入すると社会保険料の支払いが発生するので、あえて年収を106万円未満になるように調整してパートで働く人もいるので「106万円の壁」とも言われています。
ただし、「たまたま残業などで1か月だけ収入が88,000円を超えた」というイレギュラーで超えたような場合は加入条件を満たしたとはされず、社会保険加入対象外となります。
月収108,334円(年収130万円以上)以上
月収88,000円を超えても、週の労働時間や会社の従業員数によってはまだ社会保険に加入しない場合があります。しかし、月収108,334円(年収130万円)を超えると社会保険の加入対象となります。
こちらも、「たまたま忙しくて月収108,334円を超えたことが1度あった」というような場合は加入条件を満たしたとはされません。
額面の収入が増えても手取りが増えない場合がある
さて、ここまでで収入範囲別で社会保険加入条件を解説しましたが、注意が必要なのは、額面の収入が増えたとしても、健康保険や厚生年金の保険料を支払った後の実質的な手取りは、社会保険に加入しない場合よりも減るケースがあるということです。
例えば、東京都で週30時間以上のパート勤務をして、月10万円のパート代を稼ぎ、年収が120万円になって社会保険に加入することとなったとしましょう。
この場合、社会保険の負担は健康保険、厚生年金保険、住民税、所得税、雇用保険料などを差し引くと、残りの手取りは約102万円程度になると言われています。特に、健康保険と厚生年金保険の保険料は大きく、年間で15万円以上の負担額となります。
これでは、月収をより低く抑えて社会保険に加入せず、年収103万円に抑えるほうが手取りの金額は高いということになります。もちろん社会保険に加入するメリットもありますので単純にどちらが良いということは言えませんが、額面の収入が増えても手取りは増えないケースもあるということは理解しておきましょう。
勤務時間で考えるとどうなる?
シフト自由のパートなら、勤務先と相談して勤務時間を調整し、年間の収入額も自分の希望の範囲に収めやすいところが多いでしょう。