パート社員に雇用保険なし?それって違法?知っておくべき法律と対策
パートで働き始めたものの、雇用保険がなく不安に思っている人もいるでしょう。雇用保険は場合によって加入が必要な場合と必要でない場合があります。今回は昨年10月に新しくなったパートの社会保険制度を絡めながら、パートの雇用保険について詳しくご紹介していきます。
雇用保険なし=違法とは限らない
一定の条件を満たせば、パート、アルバイトであっても会社は従業員を雇用保険に加入させなければなりません。しかし、雇用保険がない場合にすぐ会社が違法行為をしていると考えるのは間違いです。なぜなら雇用保険の加入条件を満たしていない場合には、加入する必要がないからです。
例えば、1週間あたりの所定労働時間が20時間未満である場合や、30日以下の雇用では加入の必要がありません。そのため、この場合には雇用保険に加入していなくても違法とはなりません。
条件を満たしていれば会社は加入義務あり
雇用保険は加入条件を満たしている場合には、選択の余地はなく加入が義務付けられています。そのため加入条件を満たしているにも関わらず、雇用保険に加入をしていない場合には違法です。
平成28年10月に雇用保険の加入範囲が拡大され、これまで6ヶ月以上の雇用見込みがあることが条件だった雇用保険が、31日以上の雇用見込みがあることに変更されました。
そのため1週間あたりの所定労働時間が20時間以上あれば、ほとんどの方に加入義務があるといえるでしょう。これまでよりも多くの人に加入義務が生じることになりました。以下の条件を満たしている場合には雇用保険の加入が義務付けられています。
雇用保険の加入条件
- 31日以上の雇用見込みがあること
- 1週間あたりの所定労働時間が20時間以上であること
- 昼間の学生ではないこと(休学中や卒業見込証明書がある、もしくは定時制課程の学生であれば加入義務がある)
加入できるはずなのに未加入の場合の対処法
ここまで雇用保険の加入条件とメリットをご紹介してきました。しかし、雇用保険の加入条件を満たしているのにも関わらず雇用保険に加入していない場合には、すぐにでも加入してもらうように会社へ伝えましょう。
まずはパート先の上司や人事担当者に相談する
社内の手続きで解決してもらえるなら、最小限の労力、手間で済みますので、まずはパート先の上司や責任者、人事の担当者に相談してみることをおすすめします。
社会保険加入条件を詳しく知らない場合や、理解が間違っていた場合などであれば、速やかに対応してもらえば問題ありません。
話をするときには、自分の勤務の記録がわかるようなものをあらかじめ持っておくと、条件を満たしているかどうかもわかりやすく伝えることができます。
タイムカード、勤怠の記録などがあると良いでしょう。また、給与明細も見て、雇用保険の保険料が引かれているかどうかもチェックすべきポイントです。引かれているのに実際には加入していないというケースもありえますので、過去の給与明細を再確認しておきましょう。
会社内で解決できない場合は外部に相談する
上司や会社の担当者と話し合って解決しない場合、そのままだと何らかの理由で退職、失業した場合に雇用保険の適用がなくなり手当がもらえなくなってしまいます。
まずは働いている会社に相談し、それでも加入を拒否されたら、問題を解決するために、外部の窓口、公的機関に相談することも視野に入れておきましょう。
まずは最寄りのハローワーク(厚生労働省ホームページ)に事情を説明し、手続きの相談をしましょう。早めの手続きをすることが大切です。
失業手当などの各給付では、加入期間が重要な給付条件なので、少しでも早く加入することが必要です。会社側が雇用保険の加入を拒否する場合には、会社に行政から雇用を促す働きかけをしてもらうために、労働基準監督署(厚生労働省ホームページ)に相談することも一つの方法です。
雇用保険のメリットは失業保険が貰えること
雇用保険に加入していると、毎月保険料が給与から天引きされるので、なんだか損をした気分になっている方もいるかもしれません。しかし、雇用保険のメリットは働いている時よりも、むしろ失業した時に感じられるものなのです。
雇用保険に加入していることで、他の社会保険と異なるのが一定の条件を満たせば基本手当(失業手当)がもらえることです。失業すると次に仕事を探すまで生活が不安になることもあります。そんな時に失業手当があれば、再就職先を探す際にも金銭的に余裕ができます。
でもパートやアルバイトでは失業手当がもらえないと思っている方も多いのではないでしょうか。実はパートやアルバイトであっても雇用形態に関係がなく、一定の基準を満たすことで失業手当がもらえるのです。それでは、基本手当(いわゆる失業手当)をもらえる基準をご紹介します。
失業してからまた就職しようとする意思があることと、雇用保険に加入していた期間が大切です。その一定基準を満たしていれば、パートであっても失業手当がもらえます。これは雇用保険に加入する大きなメリットと言えます。また育児休業給付や介護休業給付、専門実践教育訓練給付金などの給付も条件を満たすことでもらえることがあります。
今回はパートの雇用保険加入条件や加入のメリットについてご紹介しました。いざという時のために自分の加入状況をきちんと把握しておきましょう。
パート先がブラック企業だったらどうする?
パート先が違法な労働条件、環境を状態を放置しているようなブラック企業であれば、辞めることも考えるのが心身を守るためにも必要になるかもしれません。
社会保険完備の会社であれば、基本的には条件を満たした場合に加入できる社会保険には一通り加入する仕組みがきちんとできていると言えます。