バイトの試用期間でクビ、解雇っていいんですか?これって当たり前のこと?
アルバイトの求人の中には、試用期間を設けているものもあります。試用期間は、応募者のスキルや勤務態度を評価し、正式に採用するかどうかを決めるための期間ですが、「この期間で解雇されるのではないか」と不安を感じる方も多いでしょう。試用期間中に解雇される場合、法律に基づく正当な理由がなければ、その解雇は無効となる可能性が高いことをご理解ください。今回は、試用期間中の解雇について、2024年の労働法に即した内容で解説します。
この記事の目次
試用期間中でも簡単には解雇できない
試用期間は企業が応募者の能力や適性を評価するための期間ですが、これがあっても企業が簡単に解雇することはできません。実際、労働契約法第16条では、解雇が客観的に合理的な理由に基づかず、社会通念上不当とされる場合、その解雇は無効となると規定しています。これは正社員だけでなく、アルバイトやパートタイム労働者にも適用されます。
要するに、「解雇が不合理」「社会的に見て解雇するのはおかしい」と判断される場合、解雇は無効になるということです。たとえば、企業側が感情的な理由や不合理な判断で解雇を行うことは許されません。また、企業によっては「試用期間」の代わりに「研修期間」という言葉を使う場合もありますが、これらも同じく法律的な保護が適用されます。
試用期間終了後の解雇も簡単にはできない
試用期間終了後に「本採用拒否」として解雇されることもありますが、これも簡単には認められないことを理解しておく必要があります。試用期間後に「正式に採用できないので解雇」という場合でも、その理由が合理的であり、社会的に妥当である必要があります。
「新しい優秀な人材が入ったから」「上司が気に入らないから」という理由だけでは解雇は認められません。そのような理由で解雇をすることは、法律上認められないケースがほとんどです。
また、仮にアルバイトスタッフに問題があったとしても、企業にはその問題を改善するための指導義務が求められます。たとえば、頻繁に遅刻を繰り返すスタッフには、単に「遅刻しないで」と注意するだけでなく、遅刻を防ぐための具体的な方法や仕組みを提供する努力が必要です。これにより、スタッフが自ら改善するための支援を行わなければ、企業側の責任が問われることになります。
試用期間終了後に期間延長される場合もある
試用期間が終了した後に本採用せず、試用期間を延長することがあることを知っておくことも重要です。延長される場合には、事前にその可能性が提示されていること、または合理的な理由があることが求められます。さらに、試用期間の延長が長すぎないこと(通常、合計で1年程度まで)が条件となります。
一般的に、アルバイトの試用期間は、短い場合は1~2週間程度、長くても2~3か月程度の企業が多いです。そのため、試用期間が半年以上設定されている企業には慎重に応募した方が良いでしょう。長期にわたる試用期間の提示は、しっかりと内容を確認することをおすすめします。
解雇予告と解雇予告手当のルール
労働基準法では、14日を超えて雇用する労働者を解雇する場合、30日以上前に解雇予告をするか、30日分の給料を解雇予告手当として支払う必要があります。このルールは、正社員だけでなくアルバイトにも適用されます。解雇予告をせずに解雇する場合は、その理由が客観的に合理的である必要があり、企業側が適正に手続きを行わない限り不当解雇とされることがあります。
一方で、入社から14日以内に解雇される場合には解雇予告は不要ですが、それでも不当な理由による解雇は許されません。例えば、無断欠勤や重大な虚偽申告などの理由であれば、解雇が正当化されることがありますが、単に「気に入らない」といった理由では解雇できません。
解雇に納得できない場合の対応方法
もし試用期間後に解雇され、その理由に納得できない場合は、まずは企業に相談してみましょう。自分に問題がないと感じる場合、「自分は引き続きこの仕事を続けたい」と伝え、解雇を撤回してもらうようにお願いすることが重要です。このような場合、感情的な態度ではなく、冷静に話を進めることが解決への近道です。
法的には「解雇権の濫用」とされる場合、解雇は無効となることがありますが、まずは企業と対話することで解決できることが多いため、いきなり法的手段に頼る前に、しっかりと話し合いの機会を持つことが望ましいです。
それでも解決しない場合は、労働局や専門機関に相談することができます。各都道府県の労働局に設置されている「総合労働相談コーナー(厚生労働省ホームページ)」を訪ねてみてください。「総合労働相談コーナー」では、無料で相談を受け付けており、相談内容は厳守されます。また、必要に応じて紛争解決機関を紹介してもらうこともできます。
試用期間中や終了後に不当解雇を言い渡されることは非常にショックですが、法的な観点から不当解雇である場合は、その権利を守るために適切な対応をとることが重要です。納得のいかない解雇であれば、まずは冷静に企業との対話を試みましょう。
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