バイト先での飲酒後にお客様が運転した場合、責任は店や店員にも
運転することを知ってお酒を進めるのはNG
バイト先が居酒屋やバーなど、お酒を提供する飲食店の場合、お客様もお酒を飲むことが多いでしょう。
このとき、お客様が車を運転して来店している場合、アルバイト店員の立場といえど、十分な注意が必要です。
もしお客様が店でお酒を飲んで、そのまま飲酒運転をした場合、運転者自身はもちろん、お店や店員にも罰則が科せられる可能性があるからです。
飲酒運転の法律上の規定
まず、飲酒運転には酒酔い運転、酒気帯び運転などの種類があります。酒酔い運転は、酔って運転が困難だと思われる状態を指し、飲んだ量に関わらず、酒に酔っていると判断されたら適用されます。酒気帯び運転には基準があり、呼気中のアルコール濃度が0.15mg以上か、0.25mg以上の二段階に分けられます。
酒酔い運転をした場合、免許は取り消し。その後、欠格期間といって3年間(前歴やそのほかに累積点数がない場合)は免許を取ることができません。酒気帯び運転では、呼気中のアルコール濃度によって、90日間の免許停止か、免許取り消しプラス2年間の欠格期間という行政処分を受けることになります。
もちろん免許の基礎点数も、それぞれの種類により異なりますが、いずれにせよ大きく減点されます。また行政処分に加え、罰則として、懲役または罰金も課せられることも忘れてはいけません。
アルコールは例え少量であっても、また自分では酔っていないと思っていても、必ず運転に影響を及ぼします。警察庁の発表では、お酒を飲んで運転した場合の死亡事故を起こす率が、お酒を飲んでいない時に比べて9.1倍(平成25年中)だとされています。
店長だけでなく、店員が責任を問われることも
さらに、道路交通法では、運転者以外にも、お酒が入っていると知っていながら運転させたり、一緒にその車に乗ったりした人、また運転すると分かっていながらお酒を提供した人にも厳しい罰則が課せられます。
道路交通法第65条
2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
3 何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
つまり、お店の立場側の人間として、車で来ているお客様に対して、お酒の提供をする、またはお酒を飲むことをすすめると、道路交通法違反になってしまうということです。バイト店員の立場でお酒をすすめることなどをすると「幇助(ほうじょ)」といって、こちらも刑法上の問題になりかねません。
幇助は、飲酒者を励まし飲酒させる、または飲酒運転の意思を強めるするなど、心理的に飲酒行為または飲酒運転行為をうながした全ての行為が該当します。推奨、容認など手段、方法は問われません。
そのため、多くのお店では、お客様が車を運転してきているかどうか、車の場合、ドライバーは誰なのかを確認する場合が非常に多いです。そして、ドライバーには決してお酒を提供したり、すすめないようにしています。
お酒を飲んだ後は運転代行を
人間はアルコールが入ると、注意力や判断力が低下してしまいます。気が大きくなることでスピードを出しすぎたり、ブレーキを踏むまでにいつもより時間がかかったりするので、事故を起こす可能性が非常に高くなってしまうのです。
お酒が強いと言われる人でも、同じような影響があるということが調査や研究で分かっていますから、「自分は酒に強いからちょっとくらいなら大丈夫」といった考えは絶対にいけません。
もしも飲酒運転で事故を起こしたり、誰かの命を奪ってしまったりしたら、自分と被害者のその先の人生も、また自分と被害者の家族の人生までも変えてしまいます。
取り返しがつかないことにならないよう、バイト先でもプライベートでも、道路交通法を守り、ドライバーにはお酒は飲ませず、すすめることもしないようにしましょう。
近年では「運転代行」と呼ばれるサービスが発達してきており、お酒を飲んで自動車の運転ができなくなったドライバーの代わりに運転して、自動車を目的地(主にドライバーの自宅)に送るサービスがあります。こういったサービスを活用、推奨することで、飲酒運転の事故、悲劇をなくすようにしましょう。