バイト先での飲酒後にお客様が運転した場合、責任は店や店員にも

居酒屋やバーなどの飲食店でアルバイトをしている場合、お客様にお酒を提供する機会が多いでしょう。しかし、お客様が車で来店している場合は、特に慎重な対応が求められます。社会全体で飲酒運転への厳しい目が一層強まっている2024年現在、アルバイト店員といえども、違法行為に関与した場合には法的責任を問われる可能性があることを十分に理解しておく必要があります。

特に、「運転する予定がある」と知りながらお酒を提供する行為は、重大な法律違反とみなされます。その結果、店舗や店員が罰則を受けるだけでなく、飲酒運転による悲惨な事故を引き起こす原因をつくるリスクがあることを忘れてはいけません。

飲酒運転に関する法律と罰則

飲酒運転には、酒酔い運転酒気帯び運転の2種類があり、それぞれ異なる基準と罰則が適用されます。

  • 酒酔い運転
    飲酒量にかかわらず、酔って正常な運転が困難と判断される状態を指します。酒酔い運転が確認された場合、運転免許は即座に取り消され、3年以上の欠格期間(前歴なしの場合)が課されます。欠格期間中は新たな免許の取得が一切できません。
  • 酒気帯び運転
    呼気中のアルコール濃度が0.15mg以上の場合に適用されます。アルコール濃度によっては、90日間の免許停止や免許取り消し(欠格期間2年以上)が科されます。また、行政処分に加え、懲役刑や高額な罰金も課される可能性があります。

さらに、飲酒運転による死亡事故の発生率は、お酒を飲んでいない場合と比較して約10倍高いとされています(警察庁調査より)。少量の飲酒でも判断力や注意力が低下するため、「少しなら大丈夫」「お酒に強いから平気」といった認識は非常に危険です。

店員にも問われる責任

飲酒運転を助長する行為は、道路交通法第65条で明確に禁止されています。以下の行為が法律違反に該当します。

  1. 運転する可能性があるお客様にお酒を提供すること
  2. 飲酒をすすめることや容認すること
  3. 飲酒後の運転を黙認すること

特に、運転予定のあるお客様にお酒をすすめる行為は「幇助(ほうじょ)」に該当する可能性が高いです。幇助とは、直接的な飲酒提供だけでなく、心理的に飲酒や飲酒運転を促した行為も含まれます。たとえば、「一杯くらい平気ですよ」と軽く声をかける行為でも、法律違反とみなされるリスクがあります。

⇒ 飲酒運転の罰則等 (警視庁ホームページ)

バイト先で徹底すべき飲酒運転防止対策

飲酒運転の悲劇を防ぐため、飲食店では以下のような取り組みを徹底することが重要です。

  • 来店時にお客様の交通手段を確認する
    車で来店された方がいる場合、ドライバーを特定し、その方には一切お酒を提供しないことが基本です。
  • ノンアルコールドリンクの提供を推奨する
    運転予定のあるお客様には、ノンアルコール飲料やソフトドリンクをおすすめすることで、飲酒を防ぎます。
  • 運転代行やタクシーの利用を案内する
    飲酒後に運転せざるを得ない状況を作らないために、運転代行サービスやタクシーを積極的に活用するよう促しましょう。

運転代行サービスは近年ますます普及しており、飲酒運転防止に効果的な手段です。こうしたサービスを店舗として活用することは、社会的責任を果たすとともに、店舗の信頼性向上にもつながります

飲酒運転ゼロを目指して

飲酒運転は、自分の人生だけでなく、他人やその家族の人生をも大きく傷つける重大な違法行為です。事故の被害者となる可能性はもちろん、加害者となった場合の責任は計り知れません。

飲酒運転を未然に防ぐためには、店舗全体でルールを共有し、店員一人ひとりが危機意識を持つことが大切です。また、アルバイトとして働く若い世代が、「法律違反に加担しない」という意識を持つことで、社会全体の飲酒運転撲滅に寄与できます。

店舗での飲酒運転防止策を徹底することで、悲劇を未然に防ぎ、安全な社会づくりに貢献しましょう

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