パート有給がもらえない私の会社、これって問題ないの?
有給を取ったことがないパート労働者は多いと思います。「忙しくて休めないから」とか「周囲の人に遠慮しているから」などの理由が考えられますが、中には「自分の会社は有給が取れない」と思っている人もいるのではないでしょうか?
これは大変な思い違いです。一定の条件を満たしていれば、パートでもアルバイトでも、雇用形態に関わらず有給を取得することができます。
実は日本は最近まで「世界で一番有給を使わない国」というレッテルを貼られていました。2015年の日本の有給消化率は、26ヵ国中25位。2014年に最下位を脱却したばかりで、それ以前は7年連続で最下位という位置づけなので、世界からはなかなか休みをとらない国というイメージをもたれているようです。
意外とルールの分からない有給休暇。今回は、本来どのような仕組みになっているかをご紹介していきます。
有給を取るのは割と簡単?
先に書いたように、有給は一定の労働条件を満たしていればパートでも取得することができます。その条件とは以下の通り。
- 1.雇われた日から半年以上継続して働いていること
- 2.全ての労働日数の8割以上出勤していること
半年以上真面目に働いていれば、有給が取れないということはありません。ですが、週に3日しか出勤しないパートタイマーと、フルタイムで働く人とでは、有給の取得日数に違いが出てきます。
下の表は、パートタイマーの労働日数と取得可能な有給日数をまとめたものです。
週4日or年196日~216日
継続勤務年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
週3日or年121日~168日
継続勤務年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
週2日or年73日~120日
継続勤務年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
週1日or年48日~72日
継続勤務年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5以上 |
---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 |
一年ごとに取得日数が増えていくことが分かります。上記したふたつの表を見る限り、パートが有給を得ることは決して難しい条件ではありませんよね。使わなかった有給は翌年に持ち越せることになっていますが、2年経つと消滅してしまうルールがあることも覚えておきましょう。
原則として、会社側はどんな理由でも有給の申請を断ることはできません。それがショッピングであってもバーベキューであっても問題ありません。一方で、会社が「事業の正常な運用」を妨げると判断した場合には、申請者へ取得日の変更を要求する場合があります。
しかし、これは規則上の話。ものすごく忙しい時期に「買い物に行くので有給を使います」とは言い辛いのが実情です。では、円滑に有給を取得するにはどうすればいいのでしょうか?
どんな職場環境であっても、有給を取るときに注意するポイント
同僚が働いているのに休みを取る…。悪いことをしているわけではありませんが、後ろ髪を引かれる気持ちになってしまいますね。近年では国内の労働環境も変わってきて、以前よりは有給の取得に寛容な会社が増えてきました。
とはいえ各企業やお店ごとに職場の空気が違うことは否めませんが、どんな職場環境であっても、休暇を取る際は次のことを心掛けましょう。
申請理由は「私用のため」と書いて提出する
有給を使うときは、申請書類に休む理由を書くケースが一般的です。ですが、「家族旅行のため」とか「海水浴のため」などといった詳細を記す必要はありません。プライベートな理由で休みを取る場合には「私用のため」と書いておきましょう。
申請を断られた場合は、別日を申請する
前述しましたが、原則として、会社側はどんな理由でも有給の申請を断ることはできません。しかし、会社側に「どうしてもその日は出勤して欲しい」という要望があり、自分の用事がずらせる場合には、勤務先との関係を壊さないためにも別日に申請することをお勧めします。
その際には、いつならば休んでいいのかを明確にしておくと良いでしょう。
休み申請は忙しい時期は避ける
どの会社にも繁忙期というものはあります。休みを取るときは、可能な限り忙しい時期を避けるようにしましょう。「忙しいのを知っているのに有給なんて…」と、悪い印象を与えてしまいかねません。どうしても休まなければいけないときには、担当者ときちんと話し合いをして、両方が納得できるようにしましょう。
申請はできる限り前もって行うのがお勧め。休める可能性が上がりますし、マイナスイメージを持たれなくて済みます。
引き継ぎをしっかりと行う
通常の出勤日に休みを貰うということは、誰かが休む人の仕事を背負うということ。自分しかわからない仕事があると、業務を代行する人の仕事が滞ってしまい、迷惑を掛けてしまいます。
誰が仕事を代わりにこなしてくれるのかを確認し、漏れのないように引き継ぎをしておきましょう。
有給を取得させてもらえないトラブルは労働局に相談を
「有給休暇はとらせない」「パートは有給なんてない」など、勤務先の上司から言われることがあります。しかしパートでも有給は条件をクリアしていれば取得可能で、取得させないのは違反です。
「有給を取りたいのに取らせてもらいない」と悩んだり「これって問題じゃないの?」と思うでしょう。こうした問題は、労働基準監督署の窓口を訪れるか、電話相談をしてみましょう。有給休暇についての相談をしてみると、労基署の相談員からアドバイスをしてもらえます。
厚生労働省ホームページ
まとめ
一定の条件を満たしていれば、雇用形態に関わらず取得できる有給休暇。周りの人がとっていないから…という理由で取れない場合もあるでしょう。しかし、長く勤めるつもりの会社ならば、徐々に有給に対する意識を変えて行くことが大切です。
体にも心にもストレスのない職場環境を整える意味でも、誰かが率先して声を上げることが必要なのかもしれません。
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