来来亭の社員は本当に稼げるのか?店長は40万以上!?実態調査してみた!
こんにちは、マイベストジョブ事務局です。全国に約240店舗(2017年3月)を展開するラーメン店「来来亭」の社員求人について仕事内容や給料、また「のれん分け制度」について大阪・岸部店のオーナー福岡さんに話を聞きました。
この記事の目次
急成長を誇るラーメン店来来亭の社風
来来亭は創業より10年で100億円を達成したラーメンチェーン店として有名です。独自の「のれん分け制度」により今までに100人の社長を生み出し、ラーメン業界でも大手に位置付ける240店舗もの大規模チェーンを誇っています。
大規模な店舗展開となっていますが、来来亭では「お客さまを第一に気持ちの良いお店作りを心がる」という三大原則をとても大事にしています。
「一、大きな声での挨拶」
「二、ニコニコ笑顔で対応」
「三 、キビキビとした行動」
の3つで、お店を開ける前には出勤しているメンバーが駐車場、あるいはホールに集まり、全員で経営理念を唱和します。そして、ひとりずつ前日の反省点とその日の目標を報告します。
このように、来来亭では朝礼で大きな声を出して企業理念や思いを共有しながら気持ちを高め、お客さんを迎え入れる準備をしています。
応募から面接、採用の流れ
WEBサイトの応募フォームや電話から応募すると、店長など面接担当者から連絡があり面接日を決めます。事前に書類審査はなく、履歴書と職務経歴書は面接当日に持参します。
面接では、志望動機やラーメン店、飲食店での勤務経験の有無、将来への思いなどについてヒアリングがあります。面接の流れについて見ていきましょう。
応募者の多くが他業種からの転職
応募者はラーメン店など飲食業の経験者だけでなく、建設業や運送業、サービス業など飲食業未経験者が多数です。
建設業の初任給が約21万円、運輸業や飲食サービス業は約19万円(いずれも大学卒、男女平均値/厚生労働省:平成28年賃金構造基本統計調査結果)のなか、来来亭は正社員として採用されると月給28万円からスタートします。そのため、志望動機には「お給料がいいから」といった声があります。
志望動機が給与面だったとしても、それが採否にかかわることはありません。店舗側が志望動機や飲食業の経験の有無を質問するなかで知りたいのは、応募者が「不安に思っていることはないか、不安があるとしたらそれは何なのか」ということです。
料理人であっても接客経験がほとんどない人、飲食業そのものが初めてで調理経験がまったくない人など、さまざま経歴の人がいるため、入店後、それぞれに合わせたフォローができるようにヒアリングが行われます。
面接では不安や苦手なことを伝えておく
来来亭の正社員として働くには、調理と接客の両方をこなす必要があります。料理人で調理ができても接客マナーを、前職が営業系で接客が得意でも調理技術を習得しなければなりません。
福岡さんによると「調理経験者であれば、どんどん任せていきます。ただし接客に不慣れでそこに本人も不安を持っている場合は、それを克服してもらうためにサポートします。まずは従業員と話すことで店の雰囲気になじんでもらう。緊張がとけてきたら、今度はお客さんと話すことに慣れてもらうために常連さんに紹介してコミュニケーションをとり接客を覚えてもらう」といった配慮が行われています。
調理経験がない人は「自分でもちゃんとできるようになるんでしょうか?」といった不安が多いため、「先輩がマンツーマンで指導するので心配はいらない。何度、質問してもらって大丈夫。できるようになるまできちんと教える」と伝えているとか。
採用後、スムーズに仕事を覚えていくためにも、面接時に実務に就く上での不安や自分の苦手なことなどを素直に話しておくと良いでしょう。
面接では独立・オーナーを目指すかどうかの意志確認も
来来亭では、独自の「のれん分け制度」を構築していて、社員の独立を全面的にサポートしています。後の項で詳しく説明しますが、本社へのロイヤリティが不要であることから独立を目指す応募者も多数です。
来来亭としてものれん分けを積極的に行っているため、面接時に独立の意志があるかどうかが確認されるので独立を考えているのであればきちんと伝えておきましょう。
採用において特別な基準はなし、採用の門戸は広く
来来亭では、どのお店でも精力的に働く従業員の姿を目にしますが、従業員採用において「こういう人でなければならない」といった特別な基準はなく、採用の門戸は広いと言えるでしょう。
応募者は、やる気、意気ごみのある人ばかりではなく「とりあえず、やってみないとわからない」といった人もいます。弱気が見えるからといってチャンスを与えないのではなく、「仕事を覚えるためのサポートは惜しまない。やれるだけやってみて」といった姿勢で受け入れるのが来来亭の気風です。
正社員の仕事内容と給料について
正社員の仕事は、洗い場から始まり、ホールや調理業務を経て店舗運営や人材教育などを担う店長になります。この店長職を本部から認められると独立といった流れになります。
ステップアップのプロセスとお給料について紹介します。
洗い場(給与28万円)
正社員として採用されると、まず洗い場からスタートします。平均して2週間程度この仕事に就きますが、早い人は1週間程度で次のステップに進みます。
洗い場は、昼時や夕食時は混みあいます。効率よく洗い物が進むように、シンクで予洗いを済ませる、ウォッシュラックのスペースに無駄がないように丼鉢やお皿を並べるなど効率の良い作業を身につけます。
また、調理場に立った際に手際よく仕事ができるように、洗浄後のお皿を片付けながら、備品の配置などを覚えます。ただ洗い物をするのではなく、洗い場にいるあいだに店の雰囲気や1日の仕事の流れ、また曜日ごとの人の流れなどを観察するのが良いでしょう。
ホールサービス(給与29.5万円)
期間は平均して2週間程度です。ラーメンやギョーザ、焼き豚などメニューを覚えます。また麺であればやわらかめ、固め、スープであれば醤油の薄め、濃い目など、1杯のラーメンであってもさまざまなバリエーションがあるため、オーダーを正しく取り提供できるようにサービスを習得します。
注文を受けたり、料理を運ぶだけでなく、来来亭の三大原則「大きな声であいさつ」「ニコニコ笑顔で対応」「キビキビとした行動」を接客で実践します。
来来亭のお店に立つときはホール、調理場関係なく求められる姿勢なので、行動指針としてしっかり覚えます。この後に続く仕込みや調理業務を習得すると、店舗運営のノウハウを覚えるために再びホール業務に就くため、この時点でホールサービスの基礎をしっかり身につけましょう。
仕込み(給与30万円)
野菜を洗ってカットする、玉子をゆでて皮むきをする、お米を洗ってご飯を炊く、スープに使う食材や焼き豚に使う肉の下処理をするなど、調理が効率よく行えるよう下ごしらえをします。
食材だけでなく、麺をゆでる釜の準備、作業台や客席の調味料のセッテリングもします。いずれも、迅速に料理を提供するうえで欠かせない業務です。ただ準備や下ごしらえをするだけでなく、この過程で、来来亭のメニューに必要な食材の種類やその扱い方、管理などについて学んでいきます。
チャーハン&麺場(給与32万円)
来来亭の要となるラーメンとチャーハンを作るポジションです。オーダー通りの麺の硬さ、またスープの濃さに仕上げます。
ラーメンと一緒に提供されるチャーハンなどはラーメン完成のタイミングを見はからいながら鍋をふるなど、調理場全体の流れを把握する目も養います。手際良く安定感のある味に仕上げられるように、調理技術を習得する必要があります。
教育担当(給与35万円)
来来亭の味を習得すると、売上や仕入れ管理、清掃・衛生管理など店舗運営にかかわる実務を覚えます。
教育担当というポジションですが、後輩の指導だけでなく、経営のノウハウを学べます。この時点で、自分が務める店舗の収入や支出の状況を把握できます。日々の営業を通じて経営を学ぶため、独立・オーナーとしての資質を養えるのが大きなメリットと言えるでしょう。
副店長(給与35万円~)店長(給与50万円~)
副店長は店長の右腕として店舗運営に携わります。店長は、実質的には経営者と同じ業務を担います。
店長として2年勤めることが、独立・オーナーになる要件で、マネジメントのスキルを磨き独立に備えます。上記のようなプロセスを経て最短2年で独立したオーナーもいます。
正社員の給与形態まとめ
仕事内容 | 給与(月給) |
---|---|
洗い場(入社時) | 28万円~ |
接客・ホールの仕事 | 29万5000円~ |
厨房の仕込み | 30万円~ |
調理場 | 32万円~ |
店舗運営やスタッフ教育(副店長) | 35万円~ |
店長 | 50万円~ |
独立オーナーになれるのれん分け制度について
のれん分けをしてもらい独立・オーナーになるための要件は、前項でお話しした社員としての各ステップを経て店長になり、店長として最低2年勤めることが必要です。この2年で独立を認められる場合もあれば、3年、5年の場合もあり期間は人それぞれです。のれん分け制度の内容について見ていきましょう。
ロイヤリティ負担がなく運営固定費がかからない
来来亭ののれん分け制度は、フランチャイズとは異なり本社・本部にロイヤリティを支払う必要はありません。
フランチャイズは、たとえば加盟店を募るA店(あるいはA企業など)とフランチャイズ契約を結ぶと、A店の屋号やメニュー、レシピ、サービスマニュアルなど、店舗運営に必要なノウハウを使う権利を得ることができます。A店の屋号やメニューをそのまま使う代わりに、売上の一部・ロイヤリティをA店に納め続ける仕組みです。
フランチャイズ契約ではA店の知名度、いわばブランド力で集客を見込むことができます。この点は、のれん分け制度も同じです。大きく異なるのは、フランチャイズのように契約を結んだのちに店を構え営業をスタートさせるのではなく、来来亭としてすでに営業し、顧客がついた実績のある店を引き継げることです。そのため「オープンしたものの客足が悪い」といった心配がなく、独立した日から売上を得ることができます。
利益が出ている繁盛店を買い取るのでリスクが少ない
のれん分け制度は、来来亭の本社・本部が直営する店舗の店長を務め、その店で経営者としての腕を磨き、売上が安定したその店を買い取るといった仕組みです。
その金額は、引き継ぐ店の「直近1年間の純利益(税引前)の月平均×15カ月分」で、その金額を3年ローンで返していきます。
たとえば前年度の月平均の利益が300万円の場合、300万円×15カ月=4,500万円を3年かけて月々返済していくことになります(来来亭では平均して月の売上の3割弱が利益)。
4500万円と聞くと大きな金額のように聞こえますが、月平均300万円の利益を出す店であれば月の売上は900万円以上をあり、3年の期間があれば十分に返済していけます。
のれん分けによる独立シミュレーション(店舗売上900万円のケース)
1月目 | 2月目 | 3月目 | 4月目 | 5月目 | 6月目 | 7月目 | 8月目 | 9月目 | 10月目 | 11月目 | 12月目 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
店舗売上
|
900 | 900 | 900 | 900 | 900 | 900 | 900 | 900 | 900 | 900 | 900 | 900 | 10800 |
店舗経費
|
600 | 600 | 600 | 600 | 600 | 600 | 600 | 600 | 600 | 600 | 600 | 600 | 7200 |
店舗利益
|
300 | 300 | 300 | 300 | 300 | 300 | 300 | 300 | 300 | 300 | 300 | 300 | 3600 |
店舗利益
|
125 | 125 | 125 | 125 | 125 | 125 | 125 | 125 | 125 | 125 | 125 | 125 | 1500 |
単位:万円
来来亭ののれん制度の特徴まとめ
- 店を新規オープンさせるのではなく、自分が店長を務め、売上の実績がある店をそのまま引き継ぐことができる
- ロイヤリティは一切なく運営コストが低い。
- 自己資金は不要で、月々の売上から店舗買取の金額を返済。
独立・オーナーになると、自分の手腕で店舗を増やしていくことも可能で、独立・オーナーとして来来店を多店舗展開している人もたくさんいます。次の項で実例を紹介します。
のれん分け制度で3店舗展開、実例について
今回取材した福岡さんは、高校卒業後、営業職を経て建築系の職人として働いていましたがケガをしたため退職し、職人時代と同程度の給与が見込める来来亭に応募し、30歳のときから働き始めました。そのプロセスを見ていきましょう。
店長になってから2年2カ月で独立・オーナーに
福岡さんは洗い場からスタートし約9カ月で副店長、1年4カ月で店長に、店長になってから2年2カ月で独立を認められました。
来来亭では、入社から1年で店長、店長になって2年で独立・オーナーの機会を与えるのが最速のルールですが、福岡さんはほぼそのスピードで独立を果たしています。
店長を務めた岸部店を、独立・オーナーとして譲り受けてから8年後に2店舗目、10年後にあたる昨年には3店舗目を出店しています(2017年現在)。
「私は、独立した翌年には自分の会社『創樹』を設立して店舗運営してきました。現時点で、来来亭の独立・オーナーの会社が50社ぐらいあると思います」と福岡さんは話します。
現在は3店舗のオーナーですが、さらなる店舗展開のために準備中です。
独立後も本部からのアドバイスがもらえる
調理経験がなく、不器用だったと入社当時を振り返る福岡さんは、特にチャーハンづくりで鍋を振るのに苦労したとか。店に残って自主的に練習をしていたそうですが、先輩も一緒につきあって指導してくれたと話します。
「私はお箸の持ち方もヘタだったんですが、それをきちんと指摘してもらえたのも有り難いですね。恥ずかしい思いをするのは自分ですので。仕事だけでなく、ひとりの大人としてマナーや礼儀なども教えてもらいました」と話します。
独立・オーナーになってからも、来来亭では1カ月に1度、全店の店長が本社に集まり会議を実施しているため、随時、本部のマネージャーや先輩たちからアドバイスがもらえるのも心強い点です。
自分の足で探したスタッフが右腕として活躍
福岡さんは店舗展開をする際、スタッフを集めるにあたり、先輩からの助言でまずは自分の足で探すことにしたと言います。
知り合いなどに紹介してもらったひとりひとりに声をかけ、食事をしながら仕事内容などについてじっくり話をしたせいか、当時のスタッフは長く勤めていて、新規オープンの際は率先して動いてくれたそうです。
「スタッフに恵まれた、助けられてきた、というのが正直な気持ちです。本部の人もそうしていますが、店舗数が増えてもスタッフとたくさん話をすることは心がけています。言葉を交わすことで、人とのつながりは深くなります。仕事は慣れれば誰でもこなせるようになります。仕事を一通りできるようになってから、自分についてきてもらうには自分を信用してもらうことだと思います。自分に惚れてもらわないと(笑)」と福岡さんは話します。
実際、高校生アルバイトだった学生さんで、専門学校を出たあといろんな選択肢があったなかで福岡さんの店で正社員となり、10年あまり主力メンバーとして活躍しているそうです。
まとめ
独立・オーナーになれるのは、来来亭の本社・本部から独立できる人材と認められた場合ですが、全国240店舗ほどのなか、半分以上の約170店舗が独立・オーナーの店であることから、来来亭がのれん分けを積極的に行っている様子がうかがえます。
応募時に独立の意志がなくても問題ありませんが、「どんな夢を持っているのか」「どんな自分になりたいか」など、自分の将来像をきちんと描いておくことは強みになります。
というのも、来来亭では採用時で28万円、店長になれば50万円の月収が支払われます。高い給与が保障されていますが、それを獲得していくためにはそれなりの仕事を求められます。
スタッフが足りなくて休みがなくなること、忙しい日が続くと次の日の営業に向けて残業して仕込みをすることもあります。そういった業務をこなしていくためには、それなりの意志が必要です。
3カ月、また1年程度で退職する人がいるのも事実です。「自分には向いていなかった」「他にやりたいことがある」といった理由のほか「家庭を持つことになったので、土日や夜遅くの勤務がない仕事に就きたい」といった声もあります。しかし、こういった退職者はどの職場にもいます。
どのような労働条件で自分がどれくらいの収入を得たいのか、また独立・オーナーとしてさらなる収入を目指すには何をすべきかを心得ておくのが良いでしょう。