アルバイトを試用期間で解雇・クビとする場合の理由と通知手順

アルバイトを試用期間で解雇・クビとする場合の理由と通知手順

せっかく採用したものの、試用期間での働きぶりを見ていると、業務能力が見込みより全く足りてない様子。また、業務態度に問題があり、会社としては雇用の継続は難しいと判断せざるを得ない場合があります。そういった際の解雇の理由、手順について解説します。

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安易な解雇は避ける

労務上のリスクを理解しておく

バイト、パートであったとしても、一度働き始めた従業員は簡単に解雇することはできません。クビだと言っても、不当解雇で逆に裁判に訴えられる可能性もゼロではありません。裁判に至らなくとも、解雇予告手当を請求されるケースもあります。こういったトラブルにならないよう、解雇はなるべく避けながら、正しい手順を踏む必要があります。

試用期間を延長して様子を見る

改善の余地がある場合には、試用期間を延長するというのも一つの手です。ただし、試用期間を延長するためには、以下の条件を満たしていなければなりません。

  • 就業規則に「試用期間の延長をする場合がある」と書かれていること
  • 延長について従業員の同意があること
  • 試用期間を延長するに値する理由があること(業務遂行にあたっての能力不足や勤務態度の改善など)

あるいは、可能であれば配置転換を行い、他の部署、部門で活躍できるチャンスがあればそれも良いでしょう。

そして、こういった手順を踏んだうえでなお解雇の必要性があるときには、法律上問題にならないような手続きで進めることになります。

法律上問題ない解雇の手順・方法

入社14日以内なら解雇予告は不要

雇用が14日以上となった従業員に対しては「解雇予告」と呼ばれる手続きが必要ですが、入社して14日以内なら解雇予告なしで解雇できることとなっています(労働基準法第21条)。

個人面談で解雇を伝える

手順としては、従業員と個人面談を行い、その場で理由と処分を伝えるという流れになります。その際、いつ解雇する、ということ明確にするために、試用期間満了をもって解雇するという趣旨の「試用期間満了通知書」「解雇予告通知書」など、書面を作成して渡しても良いでしょう。

14日以上は解雇予告が必要

労働基準法上、入社から14日を超える雇用をした従業員を解雇をするには「解雇予告」を行う必要があります。これは、解雇の30日前に予告しなければなりません。また、即日解雇の場合は、予告だけでなく「30日分の解雇予告手当て」を支払わなければなりません。つまり、給料の1か月分相当の金額を、手当として支払う必要があります。

ただし、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」や「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」には、法律上、解雇予告は不要とされています。

予告時には書類も用意しておく

解雇予告をする場合も、いつ解雇の予告をしたのか、いつ退職とするのかを明確にするために「解雇予告通知書」を作成して渡すことが必要です。法的には口頭での予告も有効ですが、書面にすることでよりリスクを減らすことができます。

自己都合退職をうながすのは言い方に注意

トラブル回避のためには、会社都合ではなく自己都合による退職のほうが望ましいと言えます。とはいえ、自己都合退職を強制するのは問題になりますし、従業員の気持ちを逆なでして、さらなるトラブルに発展するおそれもあります。

「あなたにはもっと良い職場があると思う」などと個人面談で伝えて、相手も納得した上で自己都合退職としてもらう分には問題ありませんが、言い方にはくれぐれも気をつけましょう。

解雇には客観的で合理的な理由が必要

法律で認められているといって「無条件に」解雇ができるわけではありません。本採用後の解雇に比べると緩やかな基準ですが、「雇用契約」はすでに成立しているので、解雇に値する客観的かつ合理的な理由が必要となります。

能力不足や適性がなく、解雇したいというケースが多くありますが、後々のトラブルを避けるためには以下の点に注意が必要です。

  • 能力や適性の不足を証明する客観的で具体的な根拠があること
  • 会社は能力、適性不足を改善するための努力をしたということが客観的にわかるようにしておくこと
  • 従業員の雇用を維持しようとした具体的な姿勢

解雇はその会社のレベルや状況で妥当性を判断するのではなく、社会一般的に、それでは解雇されるのも仕方がない、と納得が得られるものでなければ、法律上問題のない解雇とは言えません。

従業員の問題を改善して、雇用を維持しようとした具体的な姿勢というのは、例えば、時間をとって業務改善の指導をする、遅刻した場合に注意する、個人面談で注意喚起するなどです。

解雇に至る前に、複数回に渡って何とか改善しようと注意、指導を繰り返したという実績を作ることが重要です。さらに、注意は口頭だけではなく、書面でお互いに認識できる形で残しておくほうがベターです。

どういう理由でどういう内容の注意をしたという記録、報告書のようなものでも構いませんが、注意・指導を受けた従業員自身の署名・押印欄もあるとさらに良いでしょう。そして、こういうことをしたらクビになる、ということは就業規則にも記載されているほうが望ましいので、必要に応じて就業規則の見直しも行ってください。

「なんとなく会社に合ってない」「5分遅刻した」など曖昧な理由や軽微なミスを理由に解雇することはできませんので、注意してください。

まとめ

試用期間であったとしても、解雇、クビというのは簡単にできるものではありません。解雇予告に関するルールをしっかり把握して、トラブルにならないような手続きを行うようにしてください。

試用期間で判断するためのポイントについては、こちらで詳しく紹介しています。
»アルバイトを試用期間で見極める3つの視点

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